潜水服は蝶の夢を見る
世界的に有名な雑誌の編集長だった男が、脳溢血に倒れる。華やかな生活は一変、体の中で自由に動かせるのは右まぶただけになる。男は、まばたきで物語を紡ぎ始める。

悲観的なせりふでも、どこかシニカルなところが、やっぱりフランス映画だなぁと思ってしまった。
救いと幸せだけを描くわけではないところも。とても生々しくて、それでいて嘘みたいに美しいところなんかも。
一番好きなシーンは、屋外で男と、言語療法士の女性が物語を書く場面。
夕映えの、寒々しい海岸沿いに、車椅子に座った男と、傍にそっとしゃがみこんだ女がいる。
恋人とか親子とか、そうした名づけられるものではない、けれど同じくらいの深さを持ったつながりが、確かにそこにはあった。
女はアルファベットを唱える。
男はまばたきをする。
世にも美しい、物語がつむがれる瞬間だ。

素敵なタイトルだと思う。だけど、彼がその想像力ではばたいたことは、決して夢ではない。見事にこの現実を、世界を、飛んだのだろう。水底に沈む潜水服のように、ままならない体を持て余す男を思うたびに、そう祈っているし、信じている。
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先日の課題で提出した感想文。
結構たまってるので、ちびちび挙げてきます。
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