ファディスタ―ある街角のストーリー
恋愛小説は山のように読んできたが(本馬鹿なので)しっくりくる話、というのにはほとんど出会えない。「またこのパターンか…」と少し気落ちして読むことが多かった。
多分、パターンが確立してしまってるんだろう。ハッピーエンドでめでたしめでたし、もしくはどちらかが死んでしまう悲恋もの。

でも、「ファディスタ」は、“いつものパターン”ではなかった。分かりやすいハッピーエンドじゃなかった。お涙ちょうだいの死ぬ話でもなかった。
互いがそれぞれの道を歩いて離れてゆくけれど、切れることのない、家族みたいな連帯感が流れていた。地に足がついたような安定感のような。
ただ一心不乱に相手のことが好きでたまらなくなるような直情的な恋愛じゃなくて、よかった。それぞれが、他人に踏み込まれたくない自分の領域を持っていて、それでなお相手に少しでも近づこうとする、じりじりした感じ。

前作の「旋律」でも思ったけど、佐野紫音の話って、物語だからといって安易に甘くて幸せであることを許さない。うまくいかないことは、フィクションであってもうまくいかないし、登場人物の状況がいきなり好転することもない。でも、全体の灰色味が強いぶん、小さなこと・些細なことがたまらなく大切なもののように思えてくる。
ラジオから静かに流れる音楽とか、夕暮れにたたずむオルガンとか、気の良い職場の同僚や、美術館で声をひそめてする他愛ないおしゃべりとかが。ぽつぽつと置かれたそういう綺麗で優しい色は、暗い灰色の中だからこそよく映える。後味が嫌な感じにならないのが不思議だったんだけれども、これが理由なのかな。

新風舎のアンソロジーに「ろんりー・くらうん」ていう短編が載ってるらしいけど、こっちもまた読んでみたい。…「読みたい本」リストが100冊突破ー…わーい……。
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昨今のお笑いブーム。 私も大好きでよくテレビで観ている。 「漫才・お笑い=吉本興業」。子どもの頃から親しんできたし、 今でも多くのお笑い芸人が所属している。
| これいいよ | 2007/03/31 19:30 |
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